家にあるフライパン大丈夫?使うほど短命といわれるフライパンとおすすめフライパン


あなたはテフロン製のフライパンにつけられたこのようなマークを見たことがありますか?
そしてこのマークが今は無意味であることを知っていますか?
こちらのマークですが、そもそもPFOA(ピーフォア)という物質は、2021年10月22日から国内で全面的に使用禁止になっています。
ですので、マークの有無に関係なく、全てのテフロン製のフライパンがPFOAフリーですので安心してください。
このようにテフロン製のフライパンにまつわる、「○○が安全」とか「猛毒だ」とか「使ってはいけない」といった情報は、ネット上に溢れかえっています。
私も、このような情報に怯えながらも、便利なので使い続けてきました。
しかし、調べてみたのですが、テフロン加工のフライパンでも、正しい使い方さえ守れば、全く問題ないことを知りました。
そこで今回は、私が調べたテフロン製フライパンの真実についてお話ししていきたいと思います。
この記事は動画を作成し、YouTubeにて公開中です
▼チャプター
00:00 テフロンの闇
01:00 チャンネル&テーマ紹介
01:43 20世紀最大の発明!?
04:01 「PTFEフリー」とは?
04:54 有害といわれる理由
07:42 PFOAフリーの真実
08:50 安全に使うルール
10:59 今回のまとめ
16:13 ルールを守れば安全
「20世紀最大の発明」といわれるフッ素樹脂
まず、フッ素樹脂についてお話ししましょう。
PTFE(ピィーティーエフイー)というのは、「ポリ テトラ フルオロ エチレン」の略称で、フッ素樹脂のことです。プラスチックの一種です。
また「テフロン」とは、このフッ素樹脂を発見したアメリカのデュポン社の商品名のことです。(現在テフロンはデュポン社から分かれたケマーズ社が扱っています)
例えるなら、ティッシュペーパーに「エリエール」や「クリネックス」といった名称がつくのと同じで、フッ素樹脂加工された商品名の1つがテフロンです。
あまりにも有名なため、この動画ではテフロンという名称も使わせていただきます。
フッ素樹脂はどのような性質か?
このフッ素樹脂ですが「20世紀最大の発明の1つ」といわれるほど優れた物質であることを知っていますか?
間違いなく、みなさまの周りにも必ずある物質だと思います。
番号 | 性質 | 性質について |
---|---|---|
1 | 耐熱性 | −180℃〜260℃ までの広い温度に耐えます |
2 | 燃焼特性 | プラスチックの中でも最も燃えにくい物質です |
3 | 耐薬品性 | あらゆる化学薬品にも影響を受けることがありません |
4 | 耐溶剤性 | ほとんどの溶剤に溶けたり、膨張したりしません |
5 | 電気特性 | 極めて優れた絶縁性を示し、電気を通しません |
6 | 摩擦特性 | 摩擦係数は、あらゆる固体の中で最小値 |
7 | 非粘着性 | どのような粘着物質にも付着しにくく、付着しても簡単にはがせます |
8 | 耐候性 | 屋外に放置しても半永久的に劣化しません |
これらの特徴によって、フッ素樹脂はフライパンに限らず、炊飯器の内釜、アイロン、電線、車のブレーキパッド、カメラ、時計、ゴルフボール、プリンター、電池の電極、防火服、宇宙機器、マウスピース、インプラント、人工血管、人工心臓弁など、驚くほど私たちの周りに存在しています。
フッ素樹脂加工のフライパンが水や油を良く弾くのは、このうちの非粘着性が影響していて、料理をする時に油の量を少なくできることからヘルシーだといわれています。
これがテフロンであり、フッ素樹脂の基本的な情報です。
では「PTFEフリー」とは、どういう意味なのでしょうか?
PTFEフリーのフライパンとは?
PTFEはフッ素樹脂のこと。
つまり「PTFEフリー」とは、「フッ素樹脂を使用していないフライパン」の全般を指します。
フッ素樹脂を使用していない全てのフライパンのことで、テフロン以外のものを指します。
たとえば、セラミックコーティングや鉄製、ステンレス製など、フッ素樹脂加工でない全てのフライパンが含まれます。
冒頭にお伝えした「PFOAフリー」と、この「PTFEフリー」は、同じPから始まるフリーですが、その意味は全く異なります。
※「PFOAフリー」は、PFOAという有機フッ素化合物を使用しないで製造されたフッ素樹脂加工のフライパンのことです。後半で説明しますね。
一方、「PTFEフリー」というのは、フッ素樹脂を使用していない全てのフライパンのことですので、この違いについても覚えておきましょう。
では次から、いよいよ、テフロン製のフライパンが有毒といわれる4つの理由についての話に入ります。
テフロン製フライパンが有害と言われる4つの理由
ここから、テフロン製フライパンが有害と言われる4つの理由について解説していきます。
【理由①】フッ素樹脂は高温だと有毒ガスを出すから
これは本当です。フッ素樹脂は−180℃〜260℃ までの広い温度に耐えますが、表面温度が260℃を超え始めると劣化が始まります。そして、劣化が始まるとフッ素樹脂が熱分解され、ヒュームと呼ばれる微細な粒子が細かい粒子に変化し、気体になります。
このヒュームを吸い込んでしまうことによって「ポリマーヒューム熱」と呼ばれる症状を引き起こし、インフルエンザに似た症状がでて、せき、喉の痛み、数時間すると発熱、呼吸困難などをきたします。症状は数日以内には治るといわれていますが、呼吸器系の感受性が高い鳥類や、ペットの犬がこれが原因で亡くなった例もあります。
フライパンを空焚きすることは注意してください。
テフロン製の鍋はとても温まりやすいので30秒ほどで十分です。
【理由②】フッ素樹脂が体内に入ったら身体に悪いから
先ほどもお伝えしましたが、フッ素樹脂は分子量が大きいため、口から体内に入っても、ほぼ全てが体外に排出されます。
では、どのくらいの大きさか?というと、体内に摂取されると非常に排出されにくいということで問題になっている有機フッ素化合物PFOAの分子量の2400倍以上です。
とはいえ、体内に入らないに越したことはありませんので、コーティングが剥がれたテフロン製のフライパンは、使い続けないほうが良さそうです。
【理由③】フッ素樹脂の製造助剤であるPFOAの健康被害が問題になっているから
アメリカのテフロン工場の近くを流れる川の水を約10年間、飲み続けた住民が健康被害に遭い、テフロンを作っていたデュポン社が莫大な賠償金を支払った話や、PFOAが含まれた地下水で生産した野菜を食べていた住民の血液中のPFOA濃度が高かったことが取り上げられていますが、これは直接および間接的にPFOAを摂取した人のお話。
製造されたフッ素樹脂加工のフライパンについては、2020年の内閣府の食品安全委員会が出したファクトシートに「PFOAが、フライパン等の調理器具にはほとんど残存していない」と明記されています。つまり、テフロン製のフライパンからPFOAが口に入ることはないということです。
【理由④】「PFOAフリー」マークが広まったため
3つめの理由に関連しますが「PFOAフリー」というマークがあることで、そうでないテフロン製フライパンには、あたかもPFOAが含まれているかのような誤解を生んでいることが影響しているようです。
ただお伝えしたように製造後のテフロン製のフライパンにPFOAは含まれていません。
この「PFOAフリー」マークについては、さらに詳しく調べてみました。
「PFOAフリー」の真実

冒頭でもお伝えしましたが、テフロン製フライパンについている「PFOAフリー」というマークですが、PFOAは2021年10月末から全面的に使用が禁止されていますので、今売っているフッ素樹脂加工のフライパンは全て「PFOAフリー」です。
ただ、PFOAフリーのマークをつけたほうがイメージ良いのか、今も各社がマークをつくっていることもあってか、禁止となった今も、PFOAフリーがフッ素樹脂加工のフライパンを選ぶ基準の1つ、という情報もあります。
つまり禁止前であれば「PFOAフリー」マークがついているということは、製造工場の地域の河川や土壌を汚染する有機フッ素化合物であるPFOAを使ってフライパンを製造していない、ということを表すマークだったということですね。
そしてPFOAが含まれていても、PFOAフリーであっても、製造されたフッ素樹脂加工のフライパンには有機フッ素化合物は残っていないとのことでしたので、私たちへの影響については変わらない、ということです。
ただ、これは正しい使い方を知っていることが前提となります。
そこで次からは、フッ素樹脂加工のフライパンを正しく使うために共通している6つのルールについてお話していきましょう。
テフロン製フライパンを安全に使う6つのルール
テフロン製、つまりはフッ素樹脂加工のフライパンを安全に使うためには、次の6つのルールを守る必要があります。
【ルール①】空焚きは避ける。
鉄のフライパンは空焚きして熱してから油を入れ、フライパンの表面に油膜を作ることで焦げにくくする「油ならし」をします。フッ素樹脂加工のフライパンは、先ほどもお話ししましたが空焚きして260℃を超えると劣化が始まり、熱分解されると、人体や動物に有害な気体が発生しますので、空焚きは厳禁です。
【ルール②】急激に冷やさない。
鉄のフライパンは温かいうちに、たわしやササラを使いお湯で洗います。
しかし、フッ素樹脂加工のフライパンは、急に冷やすとフライパンの変形や内面のふっ素樹脂加工コーティングが痛んで剥がれる原因になりますので、洗う際は少し時間を置いて、フライパンが十分冷えてからお湯で洗うのがおすすめです。
【ルール③】中火以下で使用する。
フッ素樹脂加工のフライパンのベースとなっているアルミニウムの熱伝導率は、鉄の4倍以上ですので、30秒ほどで温まります。火力が強すぎると変形やコーティングが痛む原因となりますので、強火での使用は避けましょう。
【ルール④】木べらなどを使う。
鉄製のフライ返しなどの道具を使うと、コーティングを引っ掻いて傷つけてしまいますので、木べらなどを使いましょう。
【ルール⑤】料理を入れて保存しない。
料理に含まれた塩分がコーティングに影響を与える可能性がありますので、調理後は長時間入れっぱなしにせず、お皿や別容器に移すようにしてください。ティファールで取っ手が外れるシリーズを私も使っていますが、あくまで収納用であって料理の保存用ではないということですね。
【ルール⑥】一般的な寿命は1~3年。
どのメーカーも寿命は1~3年とありますので、定期的に買い替える必要があります。
古くなったものを廃棄する時は、不燃ごみとして正しい手順に沿って廃棄しましょう。
これら6つのルールを守りさえすれば、テフロン製フライパンであっても問題なく、安全に使うことができます。
我が家で使用しているオススメフライパン&鍋
ここからは、私が使っているオススメのフッ素樹脂加工のフライパンと鍋をご紹介します。
よかったら参考にしてください。
エバークックのフライパン(26cm)
数年前にホームセンターで購入したのですが、これまで使ったフッ素樹脂等加工のフライパンの中でナンバーワンの滑り感でした。先日、同じものを買い替えて使っています。
一番、嬉しかったのは、焼き餃子が全くくっつかなかったこと。
少しの油でお料理ができますし、洗うときの洗剤も少しで済むので、コスト的にも助かるフライパンで、今はメインで使っています。
※アフェリエイト広告を利用しています
ティファールのウォックパン(28cm)
先ほどもお伝えしたティファールの中華鍋です。他の鍋とセットで購入したのですが、取っ手が取れるので収納に便利です。
また深さのある中華鍋は適度な重さなので、取っ手をつけても重さで傾かず、焼きそばなどの焼き物はもちろん、揚げ物にも、パスタを茹でるのにも、カレーや煮物にも使える万能鍋です。
すでにティファールの取っ手がある方は特にオススメです。
※アフェリエイト広告を利用しています
ル・クルーゼのココット・ロンド(20cm)
みなさま、ご存じルクルーゼの鍋。
こちらは結婚記念にいただいたのですが、今でも重宝しています。
ルクルーゼの良いところは、その色合いで料理が楽くなるところ。
そのままテーブルに置くだけで食卓が映えるので、来客時の料理に使っています。
構造は鋳物ホーロー鍋。鉄を溶かして型に流し込んだものに、ガラス質の釉薬(うわぐすり)を高温で焼き付けたもので、熱伝導性が高く、保温性と蓄熱性が優れ、耐久性が高く、ガス、IH、オーブンのいずれにも対応しています。
ただ、ちょっとお値段が張りますので、大切な人への贈り物などに良いかな…と思います。
※アフェリエイト広告を利用しています
Googleで「テフロン」と入力すると予測変換で「テフロン 有害」と出てきます。
きっと私のように不安で検索している人が多いのではないかなって思っています。
別の素材のフライパンを推奨する記事なども多く、一時期、鉄のフライパンを使ったこともありましたが、料理の力量不足もあって、私には上手く使いこなせませんでした。
寿命はあるものの、軽くて手軽で直ぐに温まり、油も少なくて済むテフロン製は、やっぱり使いやすく、朝の子供のお弁当づくりで大活躍してくれています。
この記事が、そういったテフロンへの後ろめたさを抱えている方のお役に立つようでしたら嬉しいです。
- テフロンとはいったい何?誕生からその性質までを紹介
https://nihon-polymer.co.jp/2021/03/15/2119/ - ポリテトラフルオロ エチレン
https://www.britannica.com/science/polytetrafluoroethylene - 「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)及びその塩」の規制(日本)
https://www.boken.or.jp/find_tests/chemical_analysis/japan_regulatory_information/5554/ - 有機フッ素化合物に関するQ&A
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pf7/suisitu/joukyou/yuukihussoqa.html#1-1 - 【内閣府|食品安全委員会】ファクトシート|パーフルオロ化合物
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/f03_perfluoro_compounds.pdf - 【クローズアップ現代】化学物質“水汚染” リスクとどう向き合うか(2019年5月15日)
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4280/ - 米デュポンとケマーズ、水質汚染訴訟で和解金支払い 765億円
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN14H0O_U7A210C1000000/