2023年4月からスーパーの納豆が変わる⁉︎と言われる理由

みなさんは、2023年4月1日から納豆が変わることを知っていますか?
これまで多くの納豆に表示されていた「遺伝子組み換えでない」という表記が激減します。
実はこの「遺伝子組み換えでない」という表記。知らなかったのですが、これまで遺伝子組み換え食品の混入が5%以下であれば「組み換えでない」という表示ができました。つまり納豆なら、遺伝子組み換え大豆が4.9%入っていても「遺伝子組み換えでない」と表示できたのです。
そこで今回は、「遺伝子組み換えでない」という表記に隠された意味と、4月1日から納豆を買う時に気をつけることについて調べてみました。
この記事は動画を作成し、YouTubeにて公開中です
▼チャプター
00:00 オープニング
00:40 チャンネル説明
01:20 遺伝子組換え表示の歴史
03:56 「遺伝子組換え食品」とは?
06:51 4月1日から表示はどう変わるの?
08:35 今日のまとめ
10:30 一番、大事なことは?
4月1日から「遺伝子組み換えでない」が激減
「遺伝子組み換えでない」という表示の経緯について

日本では1996年から遺伝子組換え食品の輸入が始まりました。
当初はその表示制度は存在しなかったため、なにも表示がないまま流通していましたが、表示を求める消費者の要望に応える形で、2001年4月から遺伝子組換え食品の表示が義務化されました。
ただこれも微妙で、現在、この表示が義務づけられている作物は、「大豆、とうもろこし、じゃがいも、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな」の9種類と、その加工品なのですが、例外が多くあります。
たとえば、遺伝子組み換え作物を原材料としてつくられた油、醤油、水飴、コーンフレークには 表示義務はありません。
他にも遺伝子組み換え作物の意図せぬ混入が5%以下であれば表示義務はありません。
例えば、大豆を入れたコンテナを空けて、新しく大豆を入れる際、前の大豆がわずかに残っていると、新しい大豆と混ざってしまいます。このような場合で混入する割合が5%以下であれば任意で「遺伝子組換えではない」と表示することをこれまで国は認めていました。
つまりこれまでは「遺伝子組換えでない」と表示されている納豆でも、遺伝子組換え大豆が混ざっていた可能性が高いということです。
この任意表示が2023年4月から厳正化
新しい制度では「遺伝子組み換えでない」と表示するためには、かなり厳しくなります。
- 第三者分析機関などによる分析
- 専用コンテナでの輸送
- 遺伝子組み換え作物が商業流通されていない国で栽培したことの証明などが必要
そして、これまで「遺伝子組み換えではない」という表示が認められていた意図しない5%以下の混入は「分別生産流通管理済み」などの表示へ変えなければならなくなりました。

この表示変更はすでに始まっていて、先日、私がスーパーで購入した「おかめ納豆 極小粒」には「丸大豆(アメリカまたはカナダ)遺伝子組み換え混入防止管理済」と表記されていました。
つまり、この納豆は「5%以下の意図せぬ混入の可能性がある商品」ということですね。
今回の新たな表示ルールの下で「遺伝子組み換えでない」と表示できる商品は激減し、ほんの一握りになりそうです。
遺伝子組み換え食品は有害なのか?

そもそも、遺伝子組み換え食品とは何か?を調べてみました。
基本的なQ&Aについては、2011年の厚生労働省から発行されている資料から紹介します。
質問:遺伝子組換え食品とはどのようなものですか?
遺伝子組換え食品とは、他の生物から有用な性質を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術をもちいて作られた食品です。日本で流通している遺伝子組換え食品には、
①遺伝子組換え農作物から作られた食品と、
②遺伝子組換え微生物から作られた食品添加物があります。
質問:遺伝子組換えをした作物はどうなるのですか?
遺伝子組換え食品には、従来の育種技術では不可能とされていた特性を持たせることができます。
質問:例えばどのようなものがありますか?
害虫抵抗性のトウモロコシは、農薬をまいても なかなか死なない茎の中にいる害虫の繁殖を抑えることができます。
除草剤耐性の大豆は、雑草を除く作業がなくなるため、土を掘り返さなくてもよくなります。
米国では、この土の掘り返しによって、地表の土が風で舞い上がることが深刻な環境問題になっていたため、環境保全に繋がりました。
質問:遺伝子組み換え食品のメリットは?
農作物の収量を増やすことができ、害虫や雑草に使う農薬を減らすことができます。
また栄養価や味を改善したり、アレルギー物質を除去したりすることも期待されています。
以上が厚生労働省の資料から抜粋した内容ですが、遺伝子組み換えのデメリットについて書かれた情報もありました。
デメリット1:人体に害をもたらす可能性がある
遺伝子組み換えを行った作物が体内に入ると、ガンや白血病、アレルギーの原因になる可能性があるとの指摘がされていますが、厚生労働省は厳しい審査を行っているため、市場に出回る前にそのような可能性がある作物は排除しているとのこと。
ただし、安全性についてはまだ検証が必要な面があり、引き続き 検証が必要と主張する研究者もいるようです。
デメリット2:環境に与える影響
たとえば、遺伝子組み換え作物の花粉が雑草に組み込まれる可能性や、近隣で育てられた遺伝子組み換え作物の花粉が飛散し、意図せず遺伝子組み換え作物となってしまう可能性があります。
こうしたデメリットから、遺伝子組み換え作物に対する反対運動が世界中で行われてきました。
安全性については長期間にわたる検証によって、人々の不安を取り除いていく必要があることはもちろんですが、私たちが遺伝子組み換え食品について正しい知識を持ち、選択することが大切だと思います。
4月1日から納豆を買う時の注意点
ということで、4月1日から変わる遺伝子組み換え食品の表示をまとめました。
①まず遺伝子組み換え表示の「義務表示」は変わりません。
つまり大豆やトウモロコシなどの遺伝子組み換え原料が5%以上含まれる食品は、これまで通り「遺伝子組み換え」と表示されます。
②次に「任意表示」では「遺伝子組み換えでない」ことを証明する条件が厳正化されました。
これまでよく目にした「遺伝子組み換えでない」という表示は、これまでは5%以下であれば認められましたが、4月以降は認められなくなります。
③なお、「任意表示」は自主的なものですので、すべての納豆にこの表示があるわけではありません。
日本国内で栽培された大豆には遺伝子組み換え大豆はないので、国産大豆を100%使用して生産している納豆であれば、このような表示自体がない場合もあります。
つまり「遺伝子組み換え食品でない」「非遺伝子組み換え」と表示された商品については、科学的に検出できないレベル、ということです。
一方で「適切に分別生産流通管理を行っている」といった表示がされた商品は、混入を「5%以下」にコントロールしていると理解してください。

今回の遺伝子組み換え食品の表示改正は、これを避けたい消費者にとって 助かるものです。
この改正によって「遺伝子組み換えでない」「非遺伝子組み換え」と表示した商品が売場で見かけなくなっても、慌てずに「適切に分別生産流通管理を行っている」と表示された商品を選択し、冷静な消費行動を心がけましょう。
まとめ
遺伝子の組み換え表示については
2001年から始まった遺伝子組換え食品の表示義務ですが、義務づけられている作物は、大豆やじゃがいも、トウモロコシなどの9種類とその加工品だけしかなく、油、醤油、水飴、コーンフレークや、遺伝子組み換え作物の混入が5%以下であれば表示義務はありません。
遺伝子の組み換え食品については
遺伝子組み換え食品とは、厚生労働省の資料によると
- 他の生物から有用な性質を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込ませて作られた食品である
- 遺伝子組み換え作物は、害虫抵抗性や除草剤耐性などの特性を持たせることができる
農作物の収量を増やしたり、害虫や雑草に使う農薬を減らしたり、環境保全にも繋がっています。
一方で、遺伝子組み換え食品には人体に害をもたらす可能性があるとの指摘があったり、遺伝子組み換え作物が意図せずに拡がれば環境への影響が懸念されているため、国もそれらの安全性について不断の検討を続けていくとのことですが、私たちも遺伝子組み換え食品についての正しい知識を持ち、選択することが重要です。
4月1日から変わる納豆の表示については
遺伝子組み換え食品の「任意表示」の厳格化により、完全に遺伝子の組み換えの混入がなければ「遺伝子組み換えでない」と表示できなくなり、代わりに「適切に分別生産流通管理を行っている」といった表示がされるようになります。
また、日本では遺伝子の組み換え作物の栽培が禁止されているため、国内大豆を100%使用した納豆であれば表示自体をしていない商品もあります。
以上が、4月1日から変わる納豆の「遺伝子組み換えでない」という表示のポイントでした。
みなさまは、どう思われたでしょうか?
締めくくり
今回は、そもそも遺伝子組み換え食品とはなにか?について調べたのですが、まだまだ分かっていないことがあることもあって様々な声があり、安全性だけでなく、社会的な影響についても考える必要があると感じました。
私たちは消費者として、遺伝子組み換え食品に関する正しい情報を得て、自分の判断で選択する権利と責任を持っています。
なにより、そのためにも正確な情報を得て、考え、判断しましょう。
- 遺伝子組換え食品Q&A|厚生労働省医薬食品局食品安全部
https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/qa.pdf - 知っていますか?遺伝子組換え表示制度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genetically_modified/assets/food_labeling_cms202_220329_01.pdf - 「遺伝子組み換え」の安全性とは? なぜ賛否両論を巻き起こしているのか
https://smartagri-jp.com/management/114 - 遺伝子組み換え食品の表示ルールが変わる!2023年4月1日までに知るべき事は?
https://blog.genryoya.com/?p=1573